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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

戟を交わすこと二百余合、流汗は馬背にしたたり、双方の喚きは、雲に谺するばかりだった。しかもなお、勝敗はつかず、馬蹄のためにあたりの土は掘り返り、陽はいつのまにか暮れんとしている。

「張飛、張飛っ。なぜ引揚げぬか。家兄の命令になぜ従わん」

後ろのほうで、関羽の声がした。

気がついて、彼が前後を見まわすと、もう薄暮の戦場にのこっているのは、自分ひとりだけであった。

そして敵兵の影を遠巻きに退路をつつみ、草靄が白く野を流れていた。

「オーッ。――関羽かっ」

張飛は答えながら、なおも、呂布と戦っていたが、なるほど、味方の陣地のほうで遠く退き鐘が鳴り響いている――。

「はやく来い。そんな敵は打ちすてて引揚げろ」

関羽は、彼のために、遠巻きの敵の一角を斬りくずしていた。張飛もいささか慌てて、

「呂布、明日また来い」と云いすてて馳けだした。

何か、呂布の罵る声がうしろで聞えたが、もう双方の姿もおぼろな夕闇となっていた。関羽は、彼のすがたを見ると馳け寄ってきて、

「家兄がご立腹だぞ」と、ささやいた。

県城へ引揚げてくると、劉備はすぐ張飛を呼んで詰問した。

「またも其方は禍いをひき起したな。