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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「典韋っ、典韋!」と呼びたてた。

いつになく、典韋も来ない。

「――さては」と、彼はあわてて鎧甲を身につけた。

一方の典韋は、宵から大鼾で眠っていたが、鼻をつく煙の異臭に、がばとはね起きてみると、時すでに遅し、――寨の四方には火の手が上がっている。

すさまじい喊殺の声、打鳴らす鼓の響き。張繍の寝返りとはすぐ分った。

「しまった! 戟がない」

さしもの典韋もうろたえた。

しかも暑いので、半裸体で寝ていたので、具足をつけるひまもなかった。

――がそのまま彼は外へ躍りだした。

「典韋だ! 悪来だ!」

敵の歩卒は、逃げだした。

その一人の腰刀を奪い、典韋は、滅茶苦茶に斬りこんだ。

寨の門の一つは、彼ひとりの手で奪回した。しかしまたたちまち、長槍を持った騎兵の一群が、歩卒に代って突進して来た。

典韋は、騎士歩卒など、二十余人の敵を斬った。刀が折れると、槍を奪い、槍がササラのようになると、それも捨てて左右の手に敵兵二人をひッさげ、縦横にふり廻して暴れまわった。

こうなると、敵もあえて近づかなかった。遠巻きにして、矢を射はじめた。半裸体の典韋に矢は仮借なく注ぎかけた。