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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
賞罰のことも片づくと、彼はまた、祭壇をもうけて、戦没者の霊を弔った。
その折、曹操は、全軍の礼拝に先だって、香華の壇にすすみ、涙をたたえて、
「典韋。わが拝をうけよ」と、いった。
そして、瞑目久しゅうして、なお去りやらず、三軍の将士へ向って、
「こんどの戦で、予は、長子の曹昂と、愛甥の曹安民とを亡くしたが、予はなお、それを以て、深く心を傷ましはしない。……けれど、けれど、日常、予に忠勤を励んだ悪来の典韋を死なせたのは、実に、残念だ。――典韋すでに亡しと思うと、予は泣くまいとしても、どうしても泣かずにはおられない」と、流涕しながらいった。
粛として、彼の涙をながめていた将士は、みな感動した。
もし曹操の為に死ねたら幸福だというような気がした。忠節は日常が大事だとも思った。
何せよ、曹操は、惨敗した。
しかし味方の心を緊め直したことにおいては、その失敗も償って余りがあった。
逆境を転じて、その逆境をさえ、前進の一歩に加えて行く。――そういうこつを彼は知っていた。
故あるかな。
過去をふりむいて見ても、曹操の勢力は、逆境のたびに、躍進してきた。
× × ×