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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「陳宮、そちはこの呂布を、暗愚だというのか」

「そんなわけではありません」

「ではなぜ、おれに讒言して、賢人をしりぞけようとするか」

「彼ら父子を、真実、賢人だと思っていらっしゃるのですか」

「少なくとも、呂布にとってはまたなき良臣といえる」

「――ああ」

「何がああだ、人の寵をそねむものと、貴様こそ、諂佞の誹をうけるぞ」

「もう何も申しあげる力もございません」

陳宮は、退いた、忠ならんとすれば、却って諂佞の臣と主人の口からまでいわれる。

「如かず、門を閉じて」と、彼はしばらく引籠ったまま徐州城へも出なかった。そのうち北方の公孫※(「王+贊」、第3水準1-88-37)と袁紹との戦乱が聞えてくる。四隣の物情はなんとなく騒然たるものを感ぜしめる。

「そうだ。狩猟にでも行って、浩然の気を養おう」

一僕を連れて、彼は秋の山野を狩り歩いた。

すると、一人の怪しげな男を認めた。旅姿をしたその男は陳宮の顔を見ると、あわてて逃げだした。

「……はてな?」

やり過してから、陳宮は小首を傾けていたが、何思ったか、にわかに弓に矢をつがえて、馳けてゆく先の男へ狙いすました。

二

矢は狙いあやまたず、旅人の脚を射止めた。