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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「おれの部署へ来て、よけいな指揮はしてもらいたくない」

張飛は、肯かない。

そこで口論となり、時を移してしまったので、寄手の張遼も、余りに無反応な城門に、不審を起したものか、やがて、退いてしまったというわけであった。

「惜しいと云いたいのは、張遼を討ちもらしたことで、まったく、関羽に邪魔されたようなものだ。家兄、これでも、関羽のほうに理がありましょうか」

張飛は、例の如く、駄々をこねだして、玄徳に訴えた。

玄徳も、裁きに困ったが、

「まあ、よいではないか。捕えても逃がしても、大海の魚一尾、張遼一名のために、天下が変るわけもあるまい」

と、どっちつかずに、双方を慰撫した。

×     ×     ×

どこかで、可憐な少女の歌う声がする。

十里城外は、戦乱の巷というのに、ここの一廓は静かな秋の陽にみち、芙蓉の花に、雲は麗しく、木犀のにおいを慕って、小さい秋蝶が低く舞ってゆく。

にらの花が、地面にいっぱい

金かんざし、銀かんざし

お嫁にゆく小姑に似合おう

小姑のお聟さんは

背むしの地主老爺

床にねるにも、おんぶする

卓へつくにも、だっこする

隣のお百姓さん

見ない振りしておいで