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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

玄徳は、そう思慮して、悄然とひとり落ちて行った。

彼のその考えは後になってみると賢明であった。

呂布は、小沛を占領すると糜竺をよんで、

「玄徳の妻子は、そちの手に預けるから、徐州の城へ移して、固く守っておれ。擒虜の女子供をあなどって、みだりに狼藉する兵でもあったら、これを以て斬り捨ててさしつかえない」

と、自身の佩いていた剣をといて授けた。

糜竺は拝謝して、玄徳の妻子を車にのせ徐州へ移った。

呂布はまた、高順、張遼の両名を、この小沛の城に籠めて自身は、山東、州の境にまで進み、威を振って敗残の敵を狩りつくした。

関羽。

張飛。

孫乾など。

諸将の行方を追及することも急だったが、彼らは山林ふかく身を寓せて、呂布の捜索から遁れていたので、遂に、網の目にかからなかった。

玄徳は、許都へ志した。思えばそういう中をただ一騎、無事に落ちのびられたのは、奇蹟といってもよい。

山に臥し、林に憩い、惨たる旅をつづけてゆくうちに、

「わが君。わが君っ――」

と或る谷あいで追いついてくる数十騎の者があった。見ると、孫乾であった。

「ようこそご無事に」と、孫乾は、玄徳のすがたを見ると、声をあげて哭いた。