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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「忘恩の賊陳登。おれの恩を忘れたか。きのうまで、誰のために着、誰のために禄を喰んでいたか」

「だまれ、我もと漢朝の臣、あに汝ごとき粗暴逆心の賊に心から随身なそうや。――愚かものめ!」

「うぬっ、その細首の髻を、この手につかまぬうちは、誓ってここを退かんぞ! 陳登、城を出て闘え」

喚いているところへ、後ろにある高順の陣をめがけて、突然、一彪の軍馬が北方から猛襲して来た。

「さてはまだ曹操の兵が、城外にもいたのか」

と、大いに動揺して、左右の陣を、にわかに後ろへ開いて、鶴翼に備え立て、

「いざ、来い」と、おのおの手に唾して待ちかまえたが、近づくと、それは曹操の兵とも見えない。おそろしく薄ぎたなくて雑多な混成軍であった。馬も悪いし武器も不揃いだった。しかし、勢いは甚だしくすさまじい。どっと向う見ずに吶喊してきたかと思うと、先手と先手のぶつかり合った波頭線の人馬は、血けむりに赤く霞んで、双方の喚きは、直ちに惨烈をきわめた。すると、たちまちに四散して、馬前、人もなき鮮血の大地を蹴って、

「劉玄徳の舎弟関羽!」

「玄徳の義弟張飛とはおれのこと、この顔を覚えておれ」

と、名のりながら、馬を獅子の如く躍らしてくる二騎があった。