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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
彼の夢はたぶんに、詩人的な幻想をふくんではいる。けれど、詩人の意思のごとく弱くない。
「将軍。……そんな所においででしたか。宴席からお姿が見えなくなったので、皆どこへ行かれたのかと呟いています」
「やあ、夏侯惇か。いつになく今夜は酔ったので、独り酒を醒ましに出ていた」
「まさに、長夜の御宴にふさわしい晩ですな」
「まだまだ歓楽も、おれはこんなことでは足らない」
「――が、みな満足しております」
「小さい人々だ」
そこへ、曹操の弟曹仁が、なにか、緊張した眼ざしをして登って来た。
「兄上っ」
「なんだ、あわただしく」
「ただ今、県城から早打ちが来ました。洛陽から天子の勅使が下向されるそうです」
「わしへ?」
「もとよりです。黄河を上陸って旅途をつづけ、勅使の一行は、明日あたり領内へ着こうとの知らせでした」
「ついに来たか、ついに来たか」
「え。――兄上には、もう分っていたんですか」
「分るも分らぬもない。来るべきものが当然に来たのだ」
「ははあ……?」
「ちょうど今宵はみな宴席にいるな」
「はい」
「口を嗽ぎ、手を浄め、酒面を洗って、大評議の閣へ集まれと伝えろ。わしも直ぐそれへ臨むであろう」