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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

呂布は動かされた。それまで黙然と聞いていたが、やにわに手を振り上げ、

「丞相丞相。しばらくの間、呂布に時刻の猶予をかし給え。城中の者とよく商議して、降使をつかわすことにするから」

傍にいた陳宮は、意外な呂布の返辞に愕然として跳び上がり、

「な、なにをばかなことを仰っしゃるかっ」

と、主君の口をふさぐように、突然、横あいから大音声で曹操へ云い返した。

「やよ曹賊。汝は、若年の頃から口先で人をだます達人だが、この陳宮がおる以上、わが主君だけは欺かれんぞ。この寒風に面皮をさらして、無用の舌の根をうごかさずと、早々退散しろ」

言葉の終った刹那、陳宮の手に引きしぼられていた弓がぷんと弦鳴りを放ち、矢は曹操のの眉庇にあたってはね折れた。

曹操は、くわっと眦をあげて、

「陳宮ッ、忘るるな、誓って汝の首を、予の土足に踏んで、今の答えをなすぞ」

そして左右の二十騎に向って、即時、総攻撃にうつれと峻烈に命じた。

櫓の上から呂布はあわてて、

「待ちたまえ、曹丞相。今の放言は、陳宮の一存で、此方の心ではない。それがしは必ず商議の上、城を出て降るであろう」

陳宮は、弓を投げつけて、ほとんど喧嘩面になって云った。