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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
「劉使君。このような領民は、子のように可愛いだろうな。天子に拝をすまされたら、早く帰って、もとの如く徐州を平和に治めたまえ」と、振向いていった。
――日を経て。
三軍は許都に凱旋した。
曹操は、例によって、功ある武士に恩賞をわかち、都民には三日の祝祭を行わせた。朝門街角ともその数日は、挙げてよろこびの声に賑わった。
玄徳の旅舎は丞相府のひだりに定められた。特に一館を彼のために与えて、曹操は礼遇の意を示した。
のみならず、翌日、朝服に改めて参内するにも、玄徳を誘って、ひとつ車に乗って出かけた。
市民は軒ごとに、香を焚いて道を浄め、ふたりの車を拝跪した。
そして、ひそかに、
「これはまた、異例なことだ」と、眼をみはった。
禁中へ伺候すると、帝は、階下遠く地に拝伏している玄徳に対し、特に昇殿をゆるされて、何かと、勅問のあって後、さらに、こう訊ねられた。
「其方の先祖は、そも、何地の如何なるものであるか」
「……はい」
玄徳は、感泣のあまり、しばしは胸がつまって、うつ向いていた。――故郷楼桑村の茅屋に、蓆を織って、老母と共に、貧しい日をしのいでいた一家の姿が、ふと熱い瞼のうちに憶い出されたのであろう。