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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
帝も皇后もはっとお口をとじた。――が、幸いに案じた人ではなかった。伏皇后の父の伏完であった。
「陛下、お嘆きは、ご無用でございます。ここに伏完もおりまする」
「皇父。……御身は、朕が腹中のことを知って、そういわるるのか」
「許田に鹿を射る事――誰か朝廷の臣として、切歯しない者がありましょう。曹操が逆意は、すでに、歴々といえまする。あの日、彼があえて、主上を僭し奉って、諸人の万歳をうけたのも、自己の勢威を衆に問い、自己の信望を試みてみた奸策にまぎれなしと、わたくしは見ておりました」
「皇父。ひそかに申せ。禁中もことごとく曹操の耳目と思ってよいほどであるぞ」
「お案じ遊ばしますな。こよいは侍従宿直も遠ざけて、わずか忠良な者だけが遠くおるに過ぎませんから」
「では、そちの意中をまずきこう」
「臣の身がもし陛下の親しい国戚でなかったら、いかに胸にあることでも、決して口外はいたしません」と伏完はここに初めて、曹操調伏の意中を帝に打明け、帝もまた、お心をうごかした。
「――が、いかにせん、臣はもはや年も衰え、威名もありません。今、曹操を除くほどな者といえば、車騎将軍の董承しかないと思います。