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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「安んじて下さい。小生とても、なんで漢室の鴻恩を忘れましょうや。今いったのは戯れです。――だが、尊台が大事を秘すのあまり、小生にもかくして、ただお独りで憂い窶れておられることは、親友として不満でなりません」と、いった。

董承は、ほっと、胸をなでおろしながら、彼の手をいただいて額に拝し、

「ゆるし給え。決して君の心を疑っていたわけではないが、まだ自分は明らかな計策がつかないので、数日、混沌と思いわずらっていたわけです。――もし君も力をかして、わが大事に与してくれれば、それこそ天下の大幸というものだが」

「およそ貴憂は察しています。願わくば、一臂の力をお扶けして、義を明らかにしてみせましょう」

「ありがとう。今は何をかくそう。すべてを打明ける。うしろの扉をしめてくれたまえ」

董承は襟を正した。そして彼に示すに、帝の血書の密詔を以てし、声涙共にふるわせながら、意中を語り明かした。

王子服も、共々、熱涙をうかべて、しばし燭に面をそむけていたが、やがて、

「よく打明けてくださいました。よろこんで義に与します。誓って、曹操を討ち、帝のおこころを安んじましょう」と、約した。