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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
たのもしき哉、濁世のうちにも、まだ清隠の下、求めれば、かくの如き忠烈な人々も住む」
「この地上は、それ故に、どんなに乱れ腐えても、見限ってはいけません。わたくしはいつもそれを信じている。ですから、どんなに悪魔的世相があらわれても、決して悲観しません。人間はもう駄目だとは思いません。むしろ、見えないところに、同じ思いを抱いている草間がくれの清冽をさがし、人間の狂気した濁流をいつかは清々淙々たる永遠の流れに化さんことの願望をふるい起すのが常であります」
「皇叔。おことばを伺って、この老骨は、実にほっとしました。この年して初めてほんとの人間と天地の不朽を知ったここちがします。ただいかにせん、自分には乏しい力と才しかありません。お力をかして賜わるか」
「仰せまでもない儀。――ここに名を連ねる諸公がすでに立つからには、玄徳もなんで犬馬の労を惜しみましょうや」
彼は起って、自身、筆硯を取りに行った。
その時。
小閣の外、廊や窓のあたりは、かすかに微光がさし始めていた。
夜は明けかけていたのである。外廊の廂からぽとぽと霧の降る音がしていた。そこで何者か、声を出して泣いている人影があった。