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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

ここは下僕部屋のある邸内の空地だ。

桃の花が散ってくる。

詩は感じないでも、桃の花をみると二人は楼桑村の桃園を憶いおこす。

張飛は、最前から独りでつまらなそうに樹の下に腰かけて頬杖つきながら、それを眺めていたところだった。

「なんだ一体、ご主君の行いについて、貴様の不平とは?」

「この頃、玄徳様には邸内の畑へ出て、百姓のまね事ばかりしているではないか。菜園へ出るもよいが、自分で水を担ったり、肥料をやったり、鍬をもって、菜や人参を掘りちらさないでもよかろうじゃないか」

「そのことか」

「百姓がしたいなら、楼桑村へ帰りゃあいい。何も都に第宅を構え左将軍なんていう官職はいるまい。肥桶をかつぐに、われわれ兵隊などもいらんわけだ」

「きさま、そういうな」

「だから、おれは、これは天候のせいかも知れないと、憂いているんだ。どう思う、兄貴は」

「君子のことばに、晴耕雨読ということがある。雨の日にはよく書物に親しんでおられるから、君子の生活を実践しておられるものだとおれは思うが」

「困るよ、今から隠者になられては。――そもそもわれわれは、これから大いに世に出て為すあらんとしている者ではないか」