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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「やあ、しばらく」

曹操は待っていた。

痩躯長面、いつも鳳眼きらりとかがやいて、近ごろの曹操は、威容気品ふたつながら相貌にそなわってきた風が見える。

「つい、ここ二月ほど、ご無沙汰にすぎました。いつもお健やかで」

玄徳もさりげなく会釈すると、曹操は、その面をじろじろ見ながら、

「健康といえば、たいそう君は陽にやけたな。聞けば近頃は、菜園に出て、百姓ばかりしているというが、百姓仕事というのは、そんな楽しみなものかね」

「実に楽しいものです」

心のうちで、玄徳は、まずこの分ならと幾らか胸をなでていた。

「――丞相の政令がよく行きわたっていますから、世は無事です。故に、閑をわすれるため、後園で畑を耕していますが、費えもかからず、体にもよく、晩飯はおいしくたべられます」

「なるほど、金はかかるまいな。君は欲なしかと思うたら、蓄財の趣味はあるとみえる」

「これは、痛烈なお戯れを」

玄徳はわざと、辱らうようにうつ向いた。

「いや、冗談冗談。気にかけ給うな。――実はきょう、君を迎えたのは、この相府の梅園に、梅の実の結んだのを見て、ふと先年、張繍征伐に出向いた行軍の途中を思い起したのだ。