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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

恨むらくは、梅花は散ってしまう」

「美人の美も長くはありません」

「そう先を考えたら何もかも儚くなる。予は人生の七十年、或いは八十年、人寿の光陰を最大の長さに考えたい。――仏者は、短し短しといい、空間の一瞬というが」

「お気持はわかります」

「予は、仏説や君子の説には、無条件で服することができん。性来の叛骨とみえる。しかし、大丈夫のゆく道は、おのずから大丈夫でなくては解し難い」

と、口をむすんで、運びだす足と共に、いつかまた、前の話題にもどってきた。

「――どうですか、君。最前も云ったことだが、一体、当今の英雄は誰か。いないのか、いるのか、ご辺の胸中にある人を、云ってみたまえ」

「その問題ですか。どうも、自分には、これという人も覚えておりません。ただ丞相のご恩顧を感じ、朝廷に仕えておりますが」

「ご辺の考えで、英雄といい切れる人が見当らぬというなれば、俗聞でもいい、世上の俗間では、どんなことを云っているか、論じ給え」

性格でもあろうが、実に熱い。そのねばっこい質問には、玄徳もかわしきれなくなった。

で、遂に、

「聞き及ぶところでは、淮南の袁術など、英雄といわれる方でしょうか。