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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
「その縄尻は、私たちに持たせて下さい」
と走り出てきた二名の兵卒がある。それは張飛の命に依ってわざと張飛の陣を脱走し、劉岱へこよいの夜襲を密告して、彼らの善処をいとまなくさせた殊勲の二人だった。
「ゆるす。引っ立てろ」
張飛は、その二人に縄尻を持たせて、意気揚々ひきあげた。
残余の敵兵も、あらかた降参したので、防寨は焼き払い、劉岱以下、多くの捕虜を徐州へ引きつれて帰った。
この戦況を聞いて、玄徳のよろこびかたは限りもない程だった。わが事のように、彼の巧者な手際を褒めて、
「張飛という男は、生来、ものさわがしいばかりであったが、こんどは智謀を用いて、戦の功果をあげた。これでこそ、彼も一方の将たる器量をそなえてきたものといえよう」
そういって彼自身、城外に出迎えた。張飛は大音をあげて、
「家兄、家兄。いつもあなたは、この張飛を、耳の中の虻か、懐中の蟹のごとく、ものさわがしき男よと口癖におっしゃるが、今日は如何?」
と、得意満面でいう。
玄徳が打ち笑って、
「きょうの御身は、まことに稀代の大将に見える」というと、そばから関羽が、
「しかしそれも先に、家兄がふかく貴様をたしなめなかったら、こんなきれいな勝ちぶりはしまい。