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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

曹操は、侍臣を見せにやって、

「容易に口をあくまい。こっちへひっぱって来い」と、命じた。

聴訴閣の一面に座を設け、やがて階下にひきすえられた吉平を、曹操は、くわっと睨めつけて云った。

「老いぼれ、顔をあげろ。医者の身として、予に毒を盛るなど、ただごとの謀ではあるまい。汝をそそのかした背後の者をのこらず申せ。さすれば、そちの一命だけは助けてとらそう」

「ははは」

「汝、なにを笑うか」

「おかしいゆえ、笑うのみじゃ。おん身を殺さんと念じる者、ひとりこの吉平や、わずかな数の人間と思うか。主上を僭し奉る憎ッくき逆賊、その肉を啖わんと欲するものは、天下に溢るるほどある。いちいちそんな大勢の名があげられようか」

「口幅たいヘボ医者め。何としても申さぬな。きっといわんな」

「益なき問答」

「まだ拷問が足らんとみえる。もっと痛い目をみたいか」

「事あらわれたからには、死ぬるばかりが望みじゃ。ひと思いに斬りたまえ」

「いや、容易にはころさぬ。獄卒ども、この老医の毛髪がみな脱け落ちるまで責めつけろ。息の根の絶えぬほどに」

下知をうけると、獄卒たちは仮借をしない。あらゆる方法で吉平の肉身をいじめつけた。