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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
貴妃もまた曹操の足もとへ伏し転んで、
「自分のいのちは惜しみませんが、胎内のお子を産みおとすまで、どうかお情けに、生きることをゆるして下さい」と、慟哭して訴えた。
曹操の感情も、極端に紛乱していたが、われとわが半面の弱気を、強いて猛罵するかのように、
「いかん! いかん! かなわぬ願いだっ。逆賊の胤を世にのこしおけば、やがて予に対して祖父の讐の母の仇のと、後日のたたりをなすは必定である。――これまでの運命と思いあきらめ、せめて屍を全うしたがいい」
と、一すじの練帛をとり寄せて、貴妃の眼のまえにつきつけた。斬られるのがいやなら自決せよという酷薄無残な宣告なのである。
貴妃は哭いて、練帛を手にうけた。悲嘆に狂乱された帝は、
「妃よ、妃よ、朕をうらむな。かならず九泉の下にて待て」
と、さけばれた。
「あははは。女童みたいな世まい言を」
曹操は、強いて豪笑しながら、しかもさすがに、そこの悲鳴号泣には、耳をふさぎ眼をそらして、大股に立ち去ってしまった。
哀雲後宮をつつみ、春雷殿楼をゆるがして、その日なお董承と日ごろ親しい宮官何十人が、みな逆党の与類と号されて、あなたこなたで殺刃をこうむった。