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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
それはこれにおる劉玄徳の臣が、早馬で告げにきたことですが」と、袁紹の英気を励まし、
「――曹操はいま大軍を率いて、徐州へ向っているとあります。必定、都下は手薄とならざるを得ません。わが君、この時に起たれて、天機に応じ、虚をついて、一せいに都へ攻め入り給わば、必勝は火をみるよりも明らかであり、上は天子を扶け、下は万民の大幸と、謳歌されるでありましょう」
「……ほう」
と、袁紹の返辞は、依然、生ぬるい。どこか呆気た面持しか見えない。
田豊は、なお説いて、
「諺にも、天の与うるを取らざれば、かえって天の咎めを受く、といいます。いかがです。天下はいま、進んでわが君の掌中にころげ込もうとしていますが」
「いや、それもよいが」
袁紹は重たげに、頭を振ってそれに答えた。
「何となくいまは心がすすまん。わしの心が楽しまねば、自然戦っても利があるまい」
「どうしてですか」
「五男の病気が気がかりでの。……ゆうべも泣いてばかりいて、ひと晩中、よう睡りもせなんだ」
「お子さまのご病気は、医者と女にまかせておかれたらどうですか」
「珠を失ってから悔いてもおよぶまい。そちはわが児が瀕死の日でも、狩猟の友が誘いにきたら共に家を出るか」