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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
満寵はその夜、ひとり敵地へまぎれ入り、徐晃の陣をそっとうかがった。
木の間洩る月光の下に、徐晃は甲もとかず、帳を展べて坐っていた。
「……誰だっ。それへ来て、うかがっている者は」
「はっ……。お久しぶりでした。徐晃どの、おつつがもなく」
「オオ。満寵ではないか。――どうしてこれへ来たか」
「旧交を思い出して、そぞろお懐かしさの余りに」
「この陣中、敵味方と分れた以上は、旧友とて」
「あいや。それ故にこそ、特に私が選ばれて、大将曹操から密々にお旨をうけて忍んで来たわけです」
「えっ、曹操から?」
「きょうの合戦に、曹操第一の許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)を向うに廻して、あなたの目ざましい働きぶりを見られ、曹将軍には、心からあなたを惜しんで、にわかに、退け銅鑼を打たせたものです」
「ああ……そうだったか」
「なぜ、御身ほどな勇士が楊奉の如き、暗愚な人物を、主と仰いでおられるのか、人生は百年に足らず、汚名は千載を待つも取返しはつきませんぞ。良禽は木を選んで棲むというのに」
「いやいや、自分とても、楊奉の無能は知っているが、主従の宿縁今さらどうしようもない」