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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

徐州、小沛は、はや陥落す。

玄徳、妻子にもはなれ、身をもって、青州まで落ちまいる。いかが処置いたすべきや。

と、さしずを仰いでいた。

「かねての約束、たごうべからず――」

と袁紹はただちに一軍を迎えに差向けて、玄徳の身を引取った。

しかも、冀州城外三十里の地――平原というところまで、袁紹自身、車馬をつらねて出迎えにでていた。

よほどな優遇である。

やがて、城門にかかると、玄徳は馬を降りて、

「流亡の敗将が、何の功によって、今日このような礼遇をいただくのでしょうか。あまりな過分です」と、地に拝伏して、それからは下馬して歩いた。

城内に入ると、袁紹はあらためて、彼に対面し、過ぐる日、孫乾の使いをむなしく帰したことを、こう云いわけした。

「子煩悩とわらわれようが、子どもの病気はかなわんものでな。あの前後、わしも心身つかれ果てていたので、ついにお救いにも行けなかった。しかしここは河北数州の府、大船にのったお心で、幾年でもおいでになられるがよい」

「まことに面目もありませぬ。一族を亡ぼし、妻子をすて、恥もかえりみず、孤窮、門下に身を寄せてきたそれがし、過分なご好遇は却っていたみいります。