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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
「日ごろ、恩をおかけ遊ばすのは、かかる時の役に立てようためではありませんか。もし関羽が顔良を討ったら、いよいよ恩をかけてご寵用なさればいいことです。もしまた顔良にも負けるくらいだったら、それこそ、思いきりがいいではありませんか」
「おお、いかにも」
曹操は、すぐ使いを飛ばし関羽に直書を送って、すぐ戦場へ馳せつけよ、と伝えた。
歓んだのは関羽である。
「時こそ来れり」
とすぐ物具に身をかため内院へすすみ、二夫人に仔細を語って、しばしの別れを告げた。
しばしの暇をと聞くだに、二夫人はもう涙をためて、
「身を大事にしてたもれ。また、戦場へ参ったら、皇叔のお行方にも、どうか心をかけて、何ぞの手がかりでも……」と、はや錦袖で面をつつんだ。
「ゆめ、お案じあそばすな。関羽のひそかに心がけるところも、実はそこにありまする。やがてきっとご対面をおさせ申しましょうほどに。――どうぞお嘆きなく。……では、おさらば」
青龍の偃月刀を掻いよせて立つと、二夫人は外門のほとりまで送ってでた。関羽は赤兎馬に打ちまたがって、一路、白馬の野へ急いで行った。
二
いま、曹操のまわりは、甲鎧燦爛たる諸将のすがたに埋められていた。