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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「何が来たのか?」と、にわかに崩れ立つ味方を見て疑った。

「関羽。関羽とは何だ」

知るも知らぬも、暴風の外にはいられなかった。

関羽が通るところ、見るまに、累々の死屍が積みあげられてゆく。

その姿を「演義三国志」の原書は、こう書いている。

――香象の海をわたりて、波を開けるがごとく、大軍わかれて、当る者とてなき中を、薙ぎ払いてぞ通りける……。

顔良は、それを眺めて、

「ややや、面妖な奴かな。玄徳が義弟の関羽だと。――よしッ」

さっと、大将幡の下を離れ、電馳して駒を向けた。

――より早く、関羽も、幡を目あてに近づいていた。それと、彼のすがたを見つけていたのである。

赤兎馬の尾が高く躍った。

一閃の赤電が、物を目がけて、雷撃してゆくような勢いだった。

「顔良は、汝かっ」

それに対して、

「おっ、われこそは」

と、だけで、次を云いつづける間はなかった。

偃月の青龍刀は、ぶうっん、顔良へ落ちてきた。

その迅さと、異様な圧力の下から、身をかわすこともできなかった。

顔良は、一刀も酬いず、偃月刀のただ一揮に斬り下げられていたのである。

ジャン! とすさまじい金属的な音がした。