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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
もしそれがし風情の如く、ともに臣道の実を践む人だったら、われらとも、よい義兄弟になれたろうに」
そういって、こんどは快く、印綬を受けた。
かかる折に、戦場から早馬が到来して、「袁紹の大将にして、顔良の弟にあたる文醜が、黄河を渡って、延津まで攻め入ってきました」と、急を報じてきた。
曹操は、あわてなかった。
まず行政官を先に派遣して、その地方の百姓をすべて、手ぎわよく、西河という地に移させた。
次に、自身、軍勢をひきいて行ったが、途中で、
「荷駄、粮車すべての輜重隊は先へ進め。――戦闘部隊はずっと後につづいてゆくがいい」
と、変な命令を発した。
「こんな行軍法があろうか?」
人々は怪しんだが、ぜひなく、その変態陣のまま、延津へ馳せ向った。すると案のじょう、戦闘装備を持たない輜重隊は、まっ先に敵に叩かれた。おびただしい兵糧を置き捨てて、曹軍の先頭は、四方に潰走してしまった。
「案ずるに及ばん」
曹操は、立ち騒ぐ味方をしずめ、
「兵糧など捨て置いて味方の一隊は、北へ迂回し、黄河に沿って、敵の退路を扼せ、――また一隊は、逃げるが如く、南の阜へ馳けのぼれ」と、下知した。