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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「きたなし文醜。口ほどもなく何処へ逃げる」

うしろの声に、文醜は、

「なにをッ」と、振向きざま、馬上から鉄の半弓に太矢をつがえて放った。

矢は、張遼の面へきた。

はッと、首を下げたので、鏃はの紐を射切ってはずれた。

「おのれ」

怒り立って、張遼が、うしろへ迫ろうとした刹那、二の矢がきた。こんどはかわすひまなく、矢は彼の顔に突き立った。

どうっと、張遼が馬から落ちたので、文醜は引っ返してきた。首を掻いて持ってゆこうとしたのである。

「胆太い曲者め」

徐晃が、躍り寄って、張遼をうしろへ逃がした。徐晃が得意の得物といえば、つねに持ち馴れた大鉞であった。みずから称して白焔斧といっている。それをふりかぶって文醜に当って行った。

文醜は、一躍さがって鉄弓を鞍にはさみ、大剣を横に払って、苦々と笑った。

「小僧っ、少しは戦に馴れたか」

「大言はあとでいえ」

若い徐晃は、血気にまかせた。しかし弱冠ながら彼も曹幕の一驍将だ。そうむざむざとはあしらえない。

大剣と白焔斧は、三十余合の火華をまじえた。徐晃もつかれ果て、文醜もみだれだした。四方に敵の嵩まるのを感じだしたからである。