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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
「家兄。この徐州城に人もなきように、なにをご思案あるか。不肖、張飛もこれに在る。それがしここに留まって死守いたそう。安んじてご出馬ねがいたい」
「いや、其方にはたのみがたい」
「なぜでござるか」
「そちの性は、進んで破るにはよいが、守るには適しない」
「そんな筈はござらん。張飛のどこが悪いと仰せあるか」
「生来、酒を好み、酔えば、みだりに士卒を打擲し、すべてに軽率である。もっとも悪いのは、そうなると、人の諫めも聞かぬことだ。――其方を留めておいては、玄徳もかえって、心がかりでならん。この役は、ほかの者に申しつけよう」
「あいや、家兄。そのご意見は胆に銘じ、自分も平素から反省しているところでござる。……そうだ、こういう折こそいい時ではある。今度のご出馬を機会として、張飛は断じて酒をやめます。――杯を砕いて禁酒する!」
彼は常に所持している白玉の杯を、一同の見ている前で、床に投げつけて打ち砕いた。
その杯は、どこかの戦場で、張飛が分捕った物である。敵の大将でも落して行ったものか、夜光の名玉を磨いたような馬上杯で、(これ、天より張飛に賜うところの、一城にも優る恩賞なり)といって、常に肌身はなさず持って、酒席とあれば、それを取出して、愛用していた。