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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「よいよい、おれが許すのだ。さあ卒ども、ここへ来て飲め」

もとより士卒たちは、雀躍してみなそこに集まった。――だが、それを眺めて、少しぼんやりしている張飛の顔を見ると、何か悪い気がして、

「将軍は、お飲りにならないのですか」と、訊ねた。

張飛は、首を振って、

「おれは飲まん、おれは杯を砕いておる」と、立ち去った。

しかし、他の屯へ行くと、そこにも不眠不休の士卒が、大勢、城壁を守っているので、

「ここへも一瓶持ってこい」

また、酒蔵から運ばせた。

彼方の兵へも、此方の兵へも、張飛は、平等に飲ませてやりたくなった。酒蔵の番をしている役人は、

「もう十七瓶も出したから、これ以上はおひかえ下さい」と、扉に封をしてしまった。

城中は、酒のにおいと、士卒たちの歓声に賑わった。どこへ行ってもふんぷんと匂う。張飛は、身の置き所がなくなった。

「お一杯くらいはよいでしょう」

士卒のすすめたのを、つい手にして舌へ流しこむと、もうたまらなくなったものか、

「こらこらっ。その柄杓で、それがしにも一杯よこせ」

と、渇いている喉へ水でも流しこむように、がぶがぶ、立て続けに二、三杯飲んでしまった。