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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

袁術の州府寿春城から淮南一帯の町々や部落は、目の下に指される。

――うねうねとそこを流れている一水は淮河の流れである。

淮河は狭い。

大江の流域からくらべれば比較にならないほどである。しかし、孫策は、

「ああ、いつの日か、大江の水にのせて、わが志を展べる時が来ることか」

と、すぐ江東の天に思いを馳せずにはおられなかった。

「曲阿の母は」と憶いに沈み、

「いつ、恥なき子として、父の墳墓の草を掃くことができるだろうか」と独り嘆じていた。

すると、物蔭に休んでいた従者のひとりががさがさと、歩み寄ってきて、

「御曹司、なにを無益に嘆き給うか。――あなたは、前途ある青年ではないか。この落日は明日のない落日ではありませんぞ」と、いった。

誰かと驚いてみると、朱治字は君理、その以前、父孫堅の家臣のひとりだったという者である。

「おお、君理か。きょうも一日暮れてしまった。山野を狩りして何になろう……。わしは毎日空しくこういう日を過しているのが、天地にすまない気がするのだ。一日として、それを心に詫びない日はない、いたずらに、慕郷の情にとらわれて、女々しく哭いているわけではないよ」