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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

眸と眸――それはとたんに血縁のつよい情愛をたぎらせあい、眼たたきもせず、しばらくはお互いが呼吸さえもせずにいたが、やがて四郎高綱の眼からも、三郎盛綱の眼からも、滂沱として、湯のような涙があふれ下ってきた。

「お……おう……四郎か」

「高綱です」

「弟」

「兄者人」ふたつの体は、かたく抱き合った。

六

兄弟は、何年ぶりかで会ったのである。戦場から戦場の生涯に行き迷れたままのように――久しぶりの邂逅だった。しかも、変った姿で。

もう六十になる兄の盛綱と、五十という人生を越えてきた弟の四郎高綱と、二人は、幼少ごろの兄弟の血をそのまま覚えて、いつまでも、抱き合っていた。やがて――

「兄者人、どうしてここには? ……」と、高綱は不審がる。盛綱もまた、

「どうして、おん身こそ、ここへは来たか。……しかも沙門の姿で?」と、これも夢かのように、弟のすがたに見入るのだった。鈴野が告げに行ったのであろう。

――奥のほうから、西仏が、

「なに、佐々木の舎弟が見えられたと。――それは真か」あわただしく出てきて、紛れない四郎高綱の姿を見るなり、

「おお」と、手をのばした。

「やあ、太夫房覚明か」