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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

七

――この身も、聴いておきたいし」と兼実はいった。

それから僧正が、自慢の舶載の緑茶を煮たり、一、二首の和歌を作って、懐紙に認め合ったりして、間もなく、兼実は、舎人をつれて、待たせてある牛車に乗って帰った。

七

修行の山を下りて十年目の第一夜だった。久しぶりで範宴は人間の中で眠ったような温か味を抱いて眠った。

眼をさまして、朝の勤めをすますと、きれいに掃かれた青蓮院の境内には、針葉樹の木洩れ陽が映して、初秋の朝雲が、粟田山の肩に、白い小猫のように戯れていた。

「性善坊、参ろうぞ」範宴は、いつの間にか、もう脚絆や笠の旅仕度をしていて、草鞋を穿きにかかるのであった。

「や、もうお立ちですか」とかえって、性善坊のほうが、あわてるほどであった。

「僧正には、勤行の後で、お別れをすましたから」と範宴は、何か思い断るように足を早めて山門を出た。

性善坊は、笈を担って、後から追いついた。

すると、執事の高松衛門が、山門の外に待っていて、

「範宴殿、ご出立ですか」

「おせわになりました」

「僧正のおいいつけで、今日は、六条範綱様のお住居へ、ご案内申すつもりで、お待ちうけいたしていたのですが――」