輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
五
「では、他の室かな? ……。そうだ、あんな大事件を惹き起した内裏の女だ。うかつな所へ起き臥しさせておく気づかいはない。もっと、誰にも気づかれないような密室だろう」
真冬の暗い風がふき抜けるので、床下は、身が硬ばるほど寒かった。古い鉋屑が水気をふくんで溜っていた。天城四郎は、蟇のように四つ這いになって、奥へ奥へと這いすすんで行きながら、
「わずかな恩賞の金では、割に合わねえ仕事だぞ」と、思った。
だが、その恩賞の金よりも、彼には、露悪的な興味があり、この念仏門という大きな勢力の崩壊を、他人の火事のように傍らから見る楽しみのほうが大きかった。
「あ……。誰か、起きているな」ふと、縁の隙間から洩れている針ほどな細い灯影を見つけた。四郎は用心ぶかく、それを見つめて、しばらくは、近づかなかった。
――と、どこかで、
な、む、あ、み、だ、仏
な、ま、み、だ、仏
な、ま、み、だ
なまみだ
念仏の声が地底から湧くように起ってきた。
非常に大勢の声のように思えたが、それはただ一人の唱名であった。
「誰だ、今ごろ」四郎は、いぶかった。
「金にもならねえものを、この寒い真夜半に、何で、ぶつぶつあんな文句を称えていやがるのか……。