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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
燎原の火
一
自分の首があぶないし、第一に主人の身にも災難のかかるのは知れている。
また、寿童丸の郎党たちも、傍若無人である。主人の子の学業が終るのを待っている間には、近所の里の女をからかったり、石つぶてで、雀を打ち落して、供待部屋の炉で炙って喰いちらしたり、はなはだしい時は、こっそり、酒などをのんでいる。そして、
「おい、介、公卿奉公もよいが、選りに選ってお牛場の落魄れ藤家などへ、なんで、物好きに住みこんだのだ。おれの主人の邸へ来い、厩掃除をしても、もうちっと、身ぎれいにしていられるぞ」などと、無礼をいう。
(よせ。かまうな)と、介は、そのたびに、箭四郎を眼で抑えていた。箭四郎の方が、年上であるけれど、介がいつも止め役だった。若い血気さにおいては、当然、介の方が先に逸るべきであるが、彼には、以前の苦い経験があるので、じっと虫を抑えているのであった。
燎原の火
一
朝だった。奥の御用で、何か町まで買物に出た箭四郎が、
「介っ、大変だぞっ」と、その買物も持たずに戻ってきていった。
「どうした?」
「戦だっ」
「またか」めずらしくもないように介はつぶやく。箭四郎は、昂奮して、
「いや、こんどの火の手は、ほんものらしい。