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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

三

待ちかまえている所へ、毛皮の胴着に、野刀を佩いた荒くれ男が四、五人、息をせいて、

「弁円殿、ここにか」

「待ちかねていた。柿岡は」

「説教が終って、もう立った。念のため、途中まで見えがくれに尾行ながら来たのだ。今しも、この先の渓間を、野馬に乗って参るのが親鸞」

「なに、もう下の渓道まで来たと? ……して、親鸞の身を守る弟子どもは、五人か、十人か」

「一人」

「えっ、一人?」

「生信房というて、元、京都から中国九州にまでわたって、悪名をとどろかせた天城四郎が成れの果――今では頭をまるめている弟子坊主が、親鸞の手綱を取って、毎日、ここを越えて柿岡まで通うている」

「あっ……四郎がか」と、播磨公弁円は、遠い過去の彼を思い、また、最後に四郎とわかれた加茂川堤の時の宿怨を胸に新たにした。

親鸞といい――その四郎の生信房といい――共に弁円の心頭をあおる毒炎の中の仇敵である。その怨みのふかい人間が、共に、連れ立って来るというのも、何か、今日という鬱懐をはらす日の特異な宿命のように考えられる。

「ウーム、そうか」弁円は太くうめいて、もう体を武者ぶるいが走ってならないように、手に持っていた半弓を、ぶん、ぶん、と二、三遍弦鳴りを試みながら、