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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
四
「よし、待っていろ、吉報は近いうちだ」
そう約束して、二人は、加茂堤を北と南へわかれた。翌晩、四郎は身軽ないでたちに黒い布を頭から顔へ巻いて、吉水禅房の外をうろついていた。
何気ない風を装って、禅房の門の前を通りながら、奥をのぞくと、まだ燈火が見えた。
客が話し込んでいるらしいのである。四郎は、樹蔭に立っていた。しばらくすると、一人の武士と二人の法師が、禅房を辞去して、門の外へ出てきた。
その訪客が出てゆくと入れちがいに、四郎はツイと門の中へ入った。――彼が入り込んだのを気づかない禅房の者は、その後で、門の扉を閉め、やがて、奥の燈火も消されて、静かな闇の底に眠りについた。
四郎は、易々と、墻の内へ入って、そこらの建物を見まわした。
講堂、房、書院、厨、寐屋などの棟が、かなり奥の林まで曲がりくねって建ててある。初めは、上人とその弟子の少数だけが住むに足るだけの、ほんの一草庵に過ぎなかったものが、いつのまにか、必要に迫られて、次々に建増して行ったので、屋根と棟に統制のないのが目につく。
「? ……」のそりのそり、四郎は腕ぐみしながら、その戸の外を忍び足に歩いた。