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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
三
(文殊のご化身だ)とか、また、
(いや、唐の三蔵の再生だとおっしゃった)など、本人はすこしも知らない沙汰が、まちまちにいいふらされて、それにつられて、
(どんなお方か)と、半ば好奇な気もちで集う信徒すらあるとのことだ。しかし、その法然房には、慈円は、幾たびか会ってもみたが、いわゆる、異相の人にはちがいないが、決して、如来の再生でもなし、また、眸が二つあるわけのものでもない。ただ、違うのは、
(どこか、ふつうの人間よりは、一段ほど、高いお方だ)と思うことである。
範宴に対して、慈円の感じていることも、要するにその、
(どこか?)であった。
しかし、慈円のその信念は、決して、あやふやな――らしいの程度ではなく、山の巌根のごとく、範宴の将来に刮目しているのであった。
三
翌る日の未明である。
まだ仄暗いうちに、範宴は房を立った。供は、性善坊と菰僧の孤雲の二人だった。
性善坊は、しきりと、
「きょうからは、少納言さまも無動寺のお主、一ヵ寺のご住持でございますから、もう山の衆も、お小さいからといって、馬鹿にするような振舞いはいたしますまい」といった。彼には、それが、
(これ見よ)と見返したような晴がましさであり誇りであった。