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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

空蝉

一

平家一族のあの当時の栄華というものは、いまだに、語り草になっているように、

――この世をば

わが世とぞ思うもち月の

かけたるくまも無しと思えば

と歌った藤原道長の世盛りもおろかなほどであった。

俊寛は、多感な人だった。

平家の横暴なふるまいを、この人は、あたりまえだと見ていられなかった。

新大納言成親とか、平判官康頼とかいう反動分子を語らって、法皇を擁し奉り、幾たびも、この山荘に集まって、

(平家を討たん)という策謀をめぐらしたものである。不幸にも、それは、まだ旭のような勢いにあった平氏の者に、事を挙げるまえに嗅ぎつけられる所となって、この山荘に出入りしていた者のほとんど全部が、極罪に処せられたり、遠流になった。

俊寛もまた、縛をうけて、洛内を引きまわされ、あらゆる恥かしめと、平氏の者の唾を浴びせられて、鬼界ヶ島へ流されてしまった――

以来。

この忌わしい歴史のある山には、住む者がなかった。

二十余年のあいだ、雨や風に、法勝寺の山荘も荒るるにまかせてあり、その当時の司権者であった平氏の一族が亡んでもまだ、ここには、一穂の法燈も点かずにあった。

それがふと、数年前から、この鹿ヶ谷にも、人の足が通い初めて、都の人が、