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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

五

五

そこの萱むらから十名ほどの悪童が、蝗のように逃げだした。

中に、寿童丸の姿も見えた。介は、眼をいからせて、

「おのれっ、今日こそ、もうゆるさん」

追いかけると、寿童は、半泣きに叫びながら、携えていた竹の鞭を揮って、介を打とうとした。

「小癪なっ」介は、鞭をもぎ奪って、寿童丸の顔を、平手で、はたいた。

枯れ草の燃えているなかへ、寿童は尻もちをついて、何か喚いた。すると、そこらの草むらから、

「やっ、若殿を」

「うぬ、よくも」子どもの背後には、大人が隠れていた。叫びあって、太刀や長刀を構えながら、成田家の郎党たちが、

「うごくなっ」と、介を取り巻いて、斬りつけてきた。

介は、驚いた。ここまで企んである悪戯とは思わなかったのである。

「なにをッ」彼も太刀の鞘を払った。

ばちばちと、枯れ草を焼く火や、萱の吐く黒い煙が、その剣をくるむ。

平氏の家人とは、構えて事を争うなとは、常々、口が酸くなるほど、主人から誡められていることではあるが、かくなっては、相手を斃さねば、自分が斃されるのである。生をまもることは、人間の絶対だ。介は、眼なじりをつりあげて、闘かった。

しかし、成田の郎党たちは、常に、こういう、あら業には馴れている侍どもだし、人数も多いので、介は、見るまに、斬りたてられた。