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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

二

「そうかも知れません……。いやそうだ」石念は、韮や野芹を摘み入れてある籠を抱えた。

西仏はもう崖の下へ向って、雑木にすがりながらずるずると先へ、辷り降りていた。――と、その山裾までさしかかった二人の旅の女性も、西仏と石念の姿を見つけて、道の辺に、杖を止めて待っていた。

「もし、女御たち」西仏が声をかけつつ近づいてゆくと、

「オオ、あなたは」と、一方の女性は走ってきた。

「西仏さまではございませぬか」

「えっ……オッ、万野どのだったか」

「お久しゅうござりました」

「もう一方は」

「やはり月輪のお召使で、裏方様に侍いておりました鈴野というお方」

「ああ、やはり都の」

「上人様のお住居は、もうこの辺りでございますか」

「この鳥屋野という里からわずかばかり。――それあの山のふところに竹林が見えましょう、小丸山の里のお住居の裏手にあたる竹林です」と、振向いて、

「石念、後からご案内してきてくれ、わしは先に走って、一刻もはやく、都から見えた裏方のお使いたちのことを、ご披露しておこう。――師の房にも、さだめしびっくりなされよう」

いい残して、西仏は先に駈けて行った。彼は自分の欣びよりも、師の親鸞の欣びを思って胸がおどるのだった。