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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

三

師弟あわせて五人。

小丸山の庵室の留守居としては、教順房をかしらにして、石念夫婦や、そのほかの者をすべて残した。支度といっても、笠と藁ぐつ。

「この雪では、とても国府の町までも、お歩いはかないますまい」と、佐々木了智は、侍のたしなみとして、すぐ思いついた駒を曳いてきて親鸞にすすめた。そして、光実と了智の兄弟が、馬の口輪を取ってすすむ。

雪は、この日も、小やみなく降っていた。師弟の影は、すぐ雪の中へ埋みこむように白くかくれてしまう。

「お気をつけて――」

「お師さま」

「皆様」小丸山に残る人々は窓や門口に集まって、その影が、豆つぶのように小さくなるまで見送っていた。誰とはなく、

「上人様が、都へお立ちなされたそうな――」

と里へも伝えられて行ったとみえて、国府の町へ来ると、もう、彼の駒の前には、雪など物ともしない民衆でいっぱいだった。萩原年景は、雪の中を駈けてきて、

「何とて、一夜のお名残も賜わずに」と、恨むばかりに、別れを惜しがった。

「またのご縁もあろうに――親鸞の慕師の情をゆるしたまえ。親鸞は去るとも、仏果の樹は、もうこの土に成長して見えた。後の守りをたのみまするぞ」