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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
二
住蓮の声である。安楽房の影もうしろに見えた。
ふたりは、何事かと、小さな胸を躍らせた。もう、夜が更けているのである。日が暮れてから、男性の二人が、女ふたりのこの密室を訪うことはなかった例である。
「――すぐ、お支度をなされませ。吾々が、ご案内する」
「え? ……。どこへ」
「もう、この法勝寺では、危険になりました。何となく、世間が知ってきたようです。で……相談したのですが、これからずっと山伝いに奥へ入ると、私たちが、仮に住んでいたことのある小屋があります。そこまで行ってください。――それからのことは、後でまた、よくご相談いたしましょう」あわただしい気持が、ふたりを駆りたてた。何かもう足もとから火がついたように落着かなかった。
被衣して、裾をからげて、ふたりは住蓮と安楽房に従いて行った。星あかりもない樹の下を登るのだった。松明が欲しいのであるが、それも危険だと考えられるので、まったく手さぐりで歩くのだった。
「あぶのうございますぞ」
「はい……」
「まだ、誰が知ったというわけではないから、ご心配には及びません。いよいよ、この山では、危ないとなったら、遠くへ、お落し申しましょう」