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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
九
九
人々は驚き怪しんだ。
その無数の眼につつまれていることも忘れて、四郎は、手放しで泣きじゃくった。
「なんじゃ」
「どうしたのか」そのうちに、誰ともなく、
「あれは、天城四郎とよぶ、強賊だそうな」
「えっ、賊?」
――法話はすでに終っている。暮色につつまれた禅房のむしろは、その混雑と、不審な男のあらわれに、いつまでもがやがやしていたが、やがて一人の法師が来て、泣きじゃくっている四郎の手を取り、宥めながらどこかへ連れて行った。
今までとはまるで違って、しいんとした一室に、短檠の灯だけが、ボッと橙色の小さな光を立てていた。
「ここで、お待ちなされませ」法師がいうと、
「はい」四郎は、顔も上げ得ないで、まだ何か嘆いている。
ほど経て、静かな跫音がしてきた。四郎はうしろの戸があくと、怖じるように隅へ身を退いた。
「オウ、久しぶりのう」先ほど、法話の壇にすがたを見せていた善信であった。
四郎は打ちのめされたように平伏していた。善信はすり寄って、
「お汝、きょうはよう話を聞きにござられたな。……したが、何でそう泣かれるのか、解せぬが」
「善信どの」しがみつくように四郎は訴えた。