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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

八

僧正の法衣の袖が、ふわりと、十八公麿の肩にかぶさった。その手には、剃刀が執られている。剃刀は、水瓶の水に濡らされて、きらりと、青く光った。

「…………」範綱は、思わず、横の方へ、体をまわしてにじり出していた。

(どんな顔して――)と、十八公麿のすがたが、僧正や、他の僧のために見えないのが、もどかしいのであった。

しゃくっ……と、後ろで、誰かしのび泣きをもらした者がある。はっと思って、範綱はふり返った。板床の方に離れて控えた侍従介である。まだ、十八公麿が、乳もふくまないうちから、あやしたり、負ったり、抱いたりしていた介としては、たまらない感情がこみあげていたに違いない。

八

(不作法者め!)声には、出さなかったが、範綱は、はたと、睨みつけた。

はっと、介は、自分の腕くびに、噛みついて、顔を俯つ伏せた。

介を、叱りはしたものの範綱自身こそ、瞼のものが、あやうく、こぼれそうだった。

(凡夫――)われを嘲りつつ、彼は、つい眼をそらしていた。あの、小さい頭がと想像すると、たまらないのである。――見たら、泣けてしまうだろうと思った。すると、

「ご得度の式、すみました」