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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

と、周囲の者にもらした。

西仏と、生信房は、師の房の気持にはやくから共感していたので、さっそく檀徒の小島武弘に話した。武弘は聞くと、

「まことに、そう仰っしゃったのか」と欣んだ。

その前から、武弘のところに、縁談があったのである。真岡の判官三善為教の息女で朝姫という佳人がその候補者であった。

そういう話が――親鸞の身辺に起りかけていると――すべての人間の運命というものの動いてゆく機微な時節が、いろいろな方から熟してきているように、同時にまた念仏門の帰依者の稲田九郎頼重とか、宇都宮一族などの地方の権門たちが、

「いつまでも、上人のおん身を、あのような廃寺においては、ご健康のためによろしくない。お心を曲げても、ぜひとも、もすこし人の住むらしい所へお移し申し上げねばわれらの心が相済まぬ」そう結束して、下妻の庄からほど近い稲田山の麓――吹雪ヶ谷に新しく一院を建てて、そこへ、移住するようにすすめてきたのである。

建保二年の春。菜の花の咲きそめる坂東平野の一角に、力ある大工たちの手斧初めの音から、親鸞が四十二歳の人生のさかりにかかる稲田生活の一歩は初まった。

間もなく、庵室はできあがった。