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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

われこそは正しき仏陀の使者、破邪顕正の菩薩、孔雀明王がお旨をうけて参った者。――出てこずば、踏みこんで、愚禿の素首を打ち落すがよいか。――会おう、親鸞っ、出てきませいっ」

横たえている三尺の戒刀に反りを打たせ、大魔の吼えるように、ひっそりした庵室の中の一つ灯へ向っていった。

七

「おう」と、垂れこめた簾を徹して、その時、明らかな親鸞の答えがひびいた。次に――

「誰じゃ」それも親鸞の声であった。

静かに、簾の内の灯のあたりからその人が、起ってくる気配がした。弁円は、

「うぬっ、ここへ出てうせたが最後――」

八ツ目のわらんじをじりじりと縁近くへ踏みすすめ、手をかけている戒刀の柄は、もう血ぶるいをするかのようにガタガタとおののき鳴る。

――サラと簾を片手で上へかかげて、親鸞はそこから半身を見せた、そして、朱泥で描いた魔神のような弁円の顔をじろと眺め、その眦に、ニコリと長い笑み皺を刻むと、

「オオ」と、なんのためらいもなく――なつかしい人にでも接しるようにいって――つかつかと竹縁の端まで踏み出してきたのであった。

「――誰かと思うたら」手をさし伸ばさないばかりな親鸞の様子なのである。