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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
「ははは、余りにも、お考えが狭い。いわゆる、法を作るもの法に縛らるの喩え。そもそも、授戒のことは、必ずしも、年齢を標準にはせぬものじゃ。年さえ、加えれば、誰でも、大戒をゆるさるるとあっては、刻苦する者がなくなるであろう」
「詭弁っ」と、またうしろの法師頭の中から強くいう者があった。四王院は、それに激励されて、
「――あいや、おことばには候うが、十年二十年、この叡山に、苦行を積んでも、なおかつ、入壇はおろか、伝法のことすら受けぬものが、どれほどあるか」
「それは、その人の天稟がないか、あるいは、勉学が足らぬかの、ふたつでおざろう。――容のみ、相のみ、いかにも、荒らかに、苦行精進いたすようになっても、秋栗の皮ほども、心のはじけぬ者もある。生れながらの団栗であればぜひなき儀と思うよりほかはない」
「いや! 谷の者らが、専ら取り沙汰するところによると、座主の僧正には、少納言に対して、依怙を持たれると承る」
「それは、問わるるまでもなかろう」
「何ですと――では、明らかに、依怙贔屓だと仰せられるか。――何とおのおの、そう聞いては、もう議論のほかじゃないか。座主は範宴を盲愛していられるのだ。