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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
腕ぐみをして、ぼんやりと、鐘楼の柱に凭れているのである。
つい一昨年ごろ、坂本から上って来た若者で、はじめは、房の厨中間として働いていたが、なかなか、学才があるし、賤しくないし、少し才気走った嫌いはあるが、感情家で負け嫌いなところから、堂衆に取り立てられて、今では学僧のなかに伍している朱王房だった。
今朝は、彼が鐘楼役なのに、そこへ上ったまま、腑抜けのように腕ぐみをしているので、見にきた彼の友は、
「おいっ、朱王房じゃないか」下から呶鳴った。
朱王房は、上から、にやりと笑った。しかし、元気がないので、
「どうしたっ」訊ねると、膠のない顔つきで、
「どうもしやしない……」
「なぜ、礼鐘を撞かん?」
「…………」
「知らぬはずはあるまい。――今朝の一山同鐘を」
「知ってる」
「横着なやつだ」とととと、石段を駈け上がって行って、
「退けっ、俺が撞く」と、朱王房の肩を押しのけた。
「よし給え」
「なんだと」
「いまから撞いたって、間に合いはしない」
「じゃ、貴様は、故意に撞かなかったのだな」
「そうだ」はっきり、朱王房はいった。持ちかけた撞木の綱を放して、気色ばんだ彼の友は、朱王房の胸ぐらをつかんで睨みつけた。