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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

撲られた法師は、

「わっ」と顔をかかえて、崖のかどを踏み外した。

他の者たちは、

「おのれ、叡山の者とも見えぬが、どこの乞食法師だ。よくも、朋輩を打ったな」太刀や棒切れが、こぞって彼の一身へ暴風のように喚きかかってきた。

自分から太夫房覚明と名乗ったその男は、面倒と思ったか、腰に横たえている陣刀のような大太刀をぬいて、

「虫けらめ! なんと吐ざいたッ――」ぴゅんと、刃のみねが鳴って、一人の法師の首すじを打った。刎ねとばされた棒切れは、宙に飛んで二、三人が左右へもんどり打ってちらかった。

(かなわぬ)と思ったのであろう、法師たちは、何か犬のように吠えかわしながら、尾を巻いて逃げてしまった。性善坊と組みあっていた者も、仲間の者が怯み立って逃げだすと、もう、勇気も失せて、彼を捨てていちばん後から鹿のように影を消してしまった。

「どなたか存じませぬが……」性善坊は、あらい息を肩でついて、

「――あやうい所を……ありがとうございまする」

「どこも、お怪我はなさらぬか」

「はい」範宴も頭をさげて、心から礼をのべた。そして、星明りに、自分よりも背のすぐれて高い逞しい大法師の姿を見あげながら、どこかで見たように思った。