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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

われ女なりとも

敵の手にはかかるまじ

主上の御供に参るなり

御志おもい玉わん人々は

急ぎつづきたまえやと

舷へぞ歩みいでられける

発矢と、撥の音、聞くものの魂をさながらに身ぶるいさせた。大絃は々として急雨のように、小絃は切々として私語のごとしという形容のままだった。そして、四つの糸が突然断れたかと思われるように撥が止まったと思うと、曲は終っていたのである。峰阿弥はまるで雨を浴びたように濡れた顔になっていた。撥を鳩尾に当てたまま、大きな息を全身でついている。

「ああ」誰とはなく皆がいった。われに回った顔なのである。口々に、峰阿弥の技を称めたたえた、しかし、峰阿弥はにんやりともしなかった。

「拙ない曲を、永々とおきき下さいましてありがとう存じまする。それでは、退がらせていただきます」早速、琵琶をかかえて席をすべってゆく。いかにも恬淡な容子がいっそう人々にゆかしく思われた。

彼が去って人々が雑談に入りかけたので、範宴はそっと席をぬけて庭へ出ていた。庭は境がわからないほど広かった。花明りの下、彼はまだ恍惚と立っていた。背に樹の幹が触れたのでそのまま体を凭せかけていた。