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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

どう見ても貴族の娘だ、たけた五つ衣の裾を端折って、侍女もついていた。二人して泣いてなにかせがんでいるらしい。俺は、樹蔭にかくれて、罪なことだが、そっと見ていた。男女の話こそ聞えなかったが、それだけの事実でも、範宴がいかに巧みな偽瞞者であるかは分るじゃないか。あいつに騙されてはいかん」

「そうか。さすれば、遷化するとか、京の六角堂へ参籠するため、夜ごとに通っているなどということも」

「嘘の皮さ。通っているとすれば、それは今いった女の所へだろう」

「なんのこった」

「この社会に生きた聖などはない」

「範宴でさえそうとすれば、吾々が、坂本へ忍んで、女や酒を求めるのは、まだまだ罪の軽いほうだな」

「なんだか、社会がばからしくなってきた。この叡山までが嘘でつつまれていると思うと――」

「今ごろそんなことに気がついたのか。どれ、行こうぜ……」

「晩にはまた、坂本へ抜け出して、鬱憤を晴らせ」薪を担いで、人々は立ち上がった。いつもの薪よりは重い気がするのだった。

八

峰づたいに、十町ほど歩いてゆくと、薪を担いでいるその群れへ、谷の方から呼ぶ者があった。

提婆が、耳にとめて、

「待て待て、誰か呼んでいるぞ」